事故時、救急隊へ引き継ぐまでの初動を、現場全員で揃える。
受傷者対応、119番通報、飛行停止、搬送・引き継ぎ。
事故が起きた瞬間に必要なのは、気合いではなく、順番と判断です。
本講習では、ドローン運航の現場で起こり得る外傷・出血・熱傷・心停止を想定し、救急隊到着までの初動を実技を交えて確認します。
受ける理由は、法律より先に「現場で手が止まらないため」です
事故が起きたとき、現場で本当に困るのは、何から始めるか・誰が何をするか・どこまで対応するかが決まっていないことです。
本講習では、ドローン運航で起こりうる受傷を前提に、救急隊へ引き継ぐまでの初動を手順として確認します。
なお、2022年の航空法改正により、ドローン運航従事者には事故発生時の救護措置が求められます。初動が曖昧だと、法令対応だけでなく、取引先対応・社内説明・再発防止にも影響します。
現場で迷わないための手順
受傷者確認、飛行停止、119番通報、止血、観察、引き継ぎ。事故時に必要な順番を、実技を交えて確認します。
法令対応・説明責任
事故が起きた場合、飛行停止と救護措置が求められます。初動が曖昧だと、社内外への説明もしづらくなります。
※ 航空法 第132条の90(事故等の場合の措置)
会社としての安心材料
初動の考え方を共有しておくと、取引先・社内・家族への説明もしやすくなります。属人的な対応から抜け出しやすくなります。
📋 実際に起きた事故事例
散布中にプロペラが顔面に直撃。眼球破裂・上下涙小管断裂の重傷。
プロペラが手に接触し、指切断(重傷)。
落下により子供を含む男女6名が負傷。
救急車はすぐ来ない
- 救急車の現場到着は平均で10分前後(年次統計で変動/地域差あり)。
- 到着までに状態が変化することがあります。
ドローン現場は「遠い」
- 山・海・河川敷・農地など、人里離れた場所が多い。
- 道路状況・導線次第で10分以上も想定されます。
だから初動が重要
- 止血・観察・保温・通報・情報整理。
- 最初の行動で、引き継ぎの質が変わります。
国家資格(登録講習機関の講習)は主に操縦・運航に焦点があり、救護の実技を体系的に扱う構成にはなっていません。
だからこそ、ドローン運航の現場では「救急隊へ引き継ぐまでの初動」を別途身につける必要があります。
🔍 消防局の救命講習との違い
消防局が実施する普通救命講習・上級救命講習は、日常生活における心停止への対応が中心です。
一方、DEC講習はドローン運航現場で実際に起こりやすい外傷への初動に特化しています。
DEC講習
DOSA Chiba
ドローン現場で発生頻度が高い外傷への初動を、専用キットを使って実技中心で習得。航空法の救護義務を出発点に設計。
普通救命講習
消防局(全国)
成人の心肺蘇生法とAEDの使い方が中心。気道異物除去と直接圧迫止血法に短時間触れて終了。外傷の手当・固定・搬送は扱わない。
上級救命講習
消防局(全国)
普通救命の内容に加え、小児・乳児の心肺蘇生、三角巾による外傷手当の基礎、体位管理、保温法、搬送法を学ぶ。業種特化はなし。
| 比較項目 | DEC講習 | 普通救命講習 | 上級救命講習 |
|---|---|---|---|
| 基本情報 | |||
| 想定シーン | ドローン運航現場山間部・河川・農地・インフラ点検等 | 日常生活(街中・家庭・職場) | 日常生活全般 |
| カリキュラムの重心 | 外傷への初動+引き継ぎ(心肺蘇生も含むが主軸ではない) | 心停止への対応(時間の7〜8割が心肺蘇生・AED) | 心停止+日常の外傷基礎 |
| 効果測定 | 実技の効果測定あり(筆記試験は現時点でなし) | なし(Ⅱのみ筆記・実技あり) | 筆記・実技とも効果測定あり(全員修了が前提の理解度チェック) |
| 修了証の有効期限 | 2年 | 3年 | 3年 |
| 一次救命 | |||
| 心肺蘇生・AED | ○現場の安全確認と合わせた必須カリキュラム | ◎主軸 | ◎主軸+小児・乳児 |
| 出血・止血 | |||
| 直接圧迫止血 | ◎段階的止血(圧迫→ターニケット等) | △概要のみ | ○ |
| ターニケット(止血帯) | ◎実技+装着時刻の記録 | — | — |
| 切断指・杙創の処置 | ◎ | — | — |
| 外傷・固定 | |||
| シーネ固定(部位別) | ◎ソフトシーネ+CMSチェック | — | △三角巾中心 |
| 頭部打撲・頸椎保護(徒手固定) | ◎実技あり(ログロール準備含む) | — | △概念程度 |
| 目の外傷 | ○プロペラ・薬品による眼外傷 | — | — |
| 熱傷・環境障害 | |||
| 熱傷・化学熱傷・電撃傷 | ◎バッテリー発火・電解液・感電を個別に扱う | — | △やけどの基礎 |
| 熱中症・低体温症 | ◎FIRST法・段階別判断・予防策 | — | △保温法として |
| 虫刺され・アナフィラキシー | ○ポイズンリムーバー・エピペン補助 | — | — |
| 評価・引き継ぎ・装備 | |||
| ABCDEアプローチ | ◎評価の優先順位として体系的に指導 | — | — |
| 感染防護(実技) | ◎手袋着脱・保護メガネ・消毒の実技 | △概念のみ | △ |
| 救急隊への引き継ぎ(MIST) | ◎シナリオ練習付き | — | — |
| 搬送法 | ◎1人法・2人法 | — | ○ |
| 専用キット | ◎34アイテム60点のDEC専用キット | — | — |
| 法的根拠 | |||
| 航空法の救護義務解説 | ◎132条の90・罰則規定含む | — | — |
ターニケットの使い方、シーネによる部位別固定、バッテリー発火時の化学熱傷対応、頸椎保護の徒手固定、MISTによる救急隊への引き継ぎ——これらは消防局の講習では扱われません。
消防局の講習を受けただけでは、ドローン現場で起こりやすい傷病への対応力は身につきません。 それが、DEC講習が存在する理由です。
📚 カリキュラムの3本柱
救急隊へ引き継ぐまでの初動を、3つの領域に分解し、講義+実技で確認します。
BLS(一次救命)
胸骨圧迫・AEDを、実際に手を動かして確認。
- 反応・呼吸の確認/胸骨圧迫/AED
- Scene Safety/ABCDE/初期評価との接続
- 現場で迷わない開始条件の整理
外傷(出血・熱傷・整形)
ドローン現場で起きやすい外傷に寄せて。
- 出血:直接圧迫 →(必要なら)ターニケット等
- 熱傷・化学熱傷:安全確保 → 冷却/洗浄/遮断
- 整形外傷:PRICES/固定/循環・感覚チェック
搬送・引き継ぎ
「伝える・残す・引き渡す」を揃える。
- 119通報:場所・状況・傷病者状態の伝達
- 記録・引き継ぎ(MIST 等)+搬送の要点
- 搬送の判断(動かす/動かさない)
🧪 この講習で扱う代表場面
出血・切創・切断
直接圧迫、止血、必要に応じたターニケットの考え方まで確認します。
顔面外傷・眼周囲外傷
顔面や眼の受傷を想定し、触りすぎない判断と引き継ぎの要点を整理します。
熱傷・化学熱傷・感電
安全確保、冷却、洗浄、遮断など、優先順位を踏まえて確認します。
転倒・打撲・整形外傷
PRICES、固定、循環・運動・感覚チェック、頸椎保護の考え方を扱います。
👨🚒 講師・監修
戸出 智祐
DEC講習
インストラクター
株式会社ダイヤサービス代表取締役。2015年よりドローン事業に着手し、実証実験(PoC)に多数参画。現場でのヒヤリハットを繰り返し経験する中で、「事故が起きた瞬間に現場が動けるか」という問いを持つようになった。
2019年、救急救命士と共にDECを設計・開発。その後、看護師や客室乗務員の知見を取り入れながら講習のアップデートを指揮。消防局応急手当普及員としての活動も並行して実施中。
DECを設計した者として、そしてドローン運航の実務者として、現場リスクと応急手当を接続する講義を担う。
佐々木 真衣
DEC講習
インストラクター
株式会社ダイヤサービス運航管理グループリーダー。2022年に入社し、代表の戸出からドローンの操縦を学んだ後、実証実験や測量案件の現場を多数経験。DOSA千葉校では登録講習機関・民間講習の両方でインストラクターを担当している。DECインストラクター資格、上級救命技能認定を保有。
通勤途中に突然倒れた方に遭遇し、実際に心肺蘇生を行った経験を持つ。「知っている」と「手が動く」は別物だということを、自分自身の経験として知っている。
ドローン運航者の視点と、実際に機能した応急手当の経験を両方持つインストラクターとして、現場目線の指導を担う。
鈴木 亮
カリキュラム監修
インストラクター(兼任)
千葉市消防局に8年間勤務。消防隊・救急隊として3年、救助隊として5年、特別高度救助隊・国際消防救助部隊・特殊災害対応部隊に所属し、火災・救急・特殊災害の第一線で活動した。
現場で繰り返し経験したのは、「救急隊が到着するまでの約10分間に、その場にいた人が動けていれば」という場面だ。退職後は防災啓発活動を展開しながら、市民の応急対応能力の向上を軸に活動を続けている。
「ドローン産業界に応急手当のスキルを」というDECの思想に共感し、カリキュラム監修として参画。インストラクターを務める場合もある。

岩井 洋子
カリキュラム監修
インストラクター(兼任)
看護専門学校卒業後、約30年にわたり看護師として医療・介護の現場に従事。現在も介護施設にて、入居者の健康観察・健康管理をはじめ、服薬管理や吸引等の医療的ケアに携わっている。一人ひとりの意思や生活背景を丁寧にくみ取り、安心につながる支援を行うことを大切にしてきた。第一種衛生管理者免許を保有。
以前より、ドローンを活用した医薬品配送など先進的な取り組みに高い関心を持っていた。その中で、ドローン従事者が現場で事故や急病に直面する可能性、そして医療バックグラウンドを持たないオペレーターでも実践できる応急手当の重要性を深く認識するようになる。
「医療関係者ではないドローン従事者にも実践できる応急手当を広めたい」という思想に共感し、監修に参画。インストラクターを務める場合もある。
💬 専門家からの推薦
ドローンによる外傷の実態を臨床現場で直接知る専門家から、DEC講習の必要性についてコメントをいただいています。
竹田 一徳 先生
たけだ眼科クリニック
院長
近年、産業用ドローンの普及に伴い、眼科領域における新たな課題が浮上しています。私は産業用ドローンにより重篤な眼外傷をきたした患者様を治療した経験から、症例報告を発表する機会がありました。
この研究を通じて、産業用ドローンの高速に回転するプロペラが引き起こす眼外傷の重篤性が明らかになりました。防護なしでは重大な眼外傷を引き起こす可能性があり、適切な保護メガネの着用を強く推奨しています。
ドローン操作に関わる方々への安全教育の確立も重要であると考えています。応急手当の講習を受けられた皆様が、その経験を生かし負傷者の対応に当たることで、被害を最小限に抑えられるようになることを願っています。
📊 千葉市ドローン産業セミナーでの調査結果
「実際に止血処置ができますか?」という問いに対する挙手の結果
💰 料金・開催形態
📅 定期開催日程
DOSA千葉校での定期開催日程です。法人の方は出張研修として日程のご相談も可能です。
出張研修(4名以上)はご都合に合わせて日程調整が可能です。 → 出張・日程のご相談はこちら
⏰ タイムテーブル
| 時間 | 所要 | 内容 | 対応章 | 形式 |
|---|---|---|---|---|
| 09:30–09:45 | 15分 | オープニング/目的・範囲・注意事項 | 第1章 | 講義 |
| 09:45–10:15 | 30分 | 救護の必要性・現場リスク・怪我の特徴 | 第2〜3章 | 講義 |
| 10:15–10:35 | 20分 | Scene Safety・ABCDE・7ステップ統合練習 | 第4章 | 講義+実技 |
| 10:35–10:45 | 10分 | 休憩① | — | — |
| 10:45–11:40 | 55分 | 一次救命:胸骨圧迫・AED・回復体位 | 第5章 | 講義+実技 |
| 11:40–12:40 | 60分 | 昼休憩 | — | — |
| 12:40–13:40 | 60分 | 出血・切創・切断:直接圧迫→ターニケット等 | 第6章 | 実技中心 |
| 13:40–14:00 | 20分 | 熱傷・化学熱傷・感電 | 第7章 | 講義+実技 |
| 14:00–14:10 | 10分 | 休憩② | — | — |
| 14:10–14:45 | 35分 | 整形外傷:PRICES・シーネ固定・CMS | 第8章 | 実技中心 |
| 14:45–15:00 | 15分 | 頭部打撲・頸椎保護:徒手固定 | 第9章 | 講義+実技 |
| 15:00–15:08 | 8分 | 目の外傷:分岐判断(洗浄 vs 保護固定) | 第10章 | 講義 |
| 15:08–15:20 | 12分 | ハチ・ムカデ:リムーバー実技+アナフィラキシー | 第11章 | 講義+実技 |
| 15:20–15:30 | 10分 | 熱中症・低体温症:客観判断+アフタードロップ | 第12章 | 講義 |
| 15:30–15:40 | 10分 | 休憩③ | — | — |
| 15:40–16:10 | 30分 | 119通報・記録・引き継ぎ(MIST)+搬送 | 第13〜14章 | 講義+実技 |
| 16:10–16:40 | 30分 | 効果測定 | — | 実技 |
| 16:40–17:00 | 20分 | 質疑応答・総括・終了 | — | — |
🎓 DEC Crew認定証について
DEC講習の学科・実技の効果測定に合格した方に、株式会社ダイヤサービスよりDEC Crew認定証を発行します。
DEC Crew認定証
- 発行条件:学科・実技の効果測定に合格した方
- 有効期限:修了日から2年間
- 発行元:株式会社ダイヤサービス
- 活用場面:社内の安全管理記録、取引先への説明資料、フライトオペレーション書類への添付
→ 更新講習の詳細を見る
🏢 法人の方へ(詳細)
事前打合せについて
実施条件(目安)
- 所要:7.5時間(講義+実技)
- 少人数:講師1名あたり最大4名(推奨)
- 出張:4名以上で対応(全国)
🔄 修了後の更新講習
応急手当の手順は、一度覚えても時間が経つと曖昧になります。
年1回の受講で、判断の精度と手技の確実性を維持してください。
認定カードの有効期限は修了日から2年間。目的に合わせて2つのコースをご用意しています。
オンライン更新
- オンライン完結(dec.blue)
- スライド資料+実技確認動画+筆記
- 約90分・自分のペースで受講可能
- DEC更新認定カードを発行
※ 実地更新の対象にはなりません
対面再受講
- 初回と同じカリキュラム(7.5時間)
- 全実技項目を講師立ち会いで実施
- 筆記試験(有効期限内は学科免除)
- DEC実技確認済認定カードを発行
✓ 実地更新の対象
止血の圧迫位置、胸骨圧迫のテンポ、119番通報で伝える項目。いずれも「知っている」と「手が動く」の間には差があります。年に一度、手を動かして確認することで、現場での初動精度を保つことができます。
まずは「現場の初動」を標準化しませんか。
法人は見積・相談から。定期開催は個人・法人とも参加可能です。
お問い合わせ(法人/個人)
法人:まずは「会社名/ご担当者名/人数/希望日程(候補)/実施場所」だけでも大丈夫です。詳細は事前打合せで整理します。
個人・法人(定期開催):参加希望としてご連絡ください(次回 2026年4月10日(金))。
※原則3営業日以内に返信します(万一、返信がない場合は迷惑メールフォルダもご確認ください)。